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飯南町だより
 ◆飯南町だより

 冬の夜の訪問者                                                             

 もうすぐ小正月ですね。
 
 寒い雪の夜、どこからともなく聞こえる「とろとろぉ〜・・・とろとろぉ〜・・・」という呪文のような声・・・
 闇夜にまぎれてやってくる子どもたちの集団は民家の縁側の戸をそっと開け、お供えを持っていってしまう・・・。
 
 ここまで聞くとなんだかホラーチックなのですが、この子どもたち、飯南町では、新春の福を家々に運ぶ、とってもおめでたい使者なんです。

 「一年の最初の満月の夜(小正月)に神が来臨し、人々に祝福を与える」
 という言い伝えに基づくといわれる、この行事を飯南町では「とろへい」と呼んでいます。

小正月の夜、子どもたちはあらかじめ作っておいた藁馬を手に

「とろとろぉ〜・・・とろとろぉ〜・・・」
と口ずさみながら地域の家々を巡ります。



子どもたちは、まず、親馬(大きい方)と子馬(小さい方)を家の縁側に置き、物影へ隠れます。

「とろへい」の子どもたちの来訪を知った家人は、縁側へ出ると、子馬をいただいて神棚などへ納め、もう一つの親馬には、お餅やミカン、お菓子などのお供え物をくくりつけます。

「そろそろお供え物が出てきたかな?」
タイミングを見計らって子どもたちは、家の人に気付かれない様、そっと親馬とお供え物をいただきに近づきます。


子どもたちがお供えを取りに来たことを察知した家の人たちは、思いっきり水を子どもたちに浴びせます。

屋根の上に待機していて、猛然と水をあびせる人、水道の蛇口にホースを取り付け、放水する人などもいて子どもたちは災難です。


行事が終われば、子どもたちも暖かい家の中で「およばれ」となります。家々に配られた馬は、家内に福をもたらす縁起物として床の間、神棚などに飾られます。


 どうしてワラで作った馬を持っていくのでしょう?
 福をもたらされた家人はどうして子どもたちに水をあびせるのか?
 冬の夜に行われるとても不思議で里山に伝わるとても雰囲気のある行事なのですが、実は現在、この行事を飯南町内で伝承する地域がなくなってしまいました。

 行事が途絶えて3年目。
 雪深いこの地に、そう遠くない春の訪れを予感させる「ことぶれ」行事として、今も飯南の人々の心に残っている「とろへい」。是非復活させたいと願っています。(2010年から頓原公民館行事として復活し、継続して実施されています)

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