○飯南病院医療事故防止対策要綱
平成26年3月31日
訓令第15号
(目的)
第1条 この訓令は、指針に示された医療事故防止対策委員会(以下「委員会」という。)を中心に医療事故を防止し、安全かつ適切な医療を提供するための事項を定める。誰が事故を起こしたかということではなく、何が事故を招いたのかという観点に立ち、各部署からの積極的な事故防止策の提案及び実行により、安全で良質な医療を提供することを目的とする。
また、常に医療の透明性を確保し、医療関係者と患者の良質な信頼関係を構築していくことが大切である。
(組織)
第2条 委員会は、次の委員をもって構成する。
(1) 委員長 院長
(2) 委員 施設長、副院長、看護部長、看護師長、主任看護師、事務長、薬剤師、管理栄養士、理学療法士、臨床検査技師、診療放射線技師、事務職
(各部署の責任者)
第3条 院内各部署の責任者を次のとおり定める。
①医局(院長)
②歯科口腔外科(副院長)
③看護部総括(看護部長)
④外来(看護師長)
⑤病棟(看護師長)
⑥事務局(事務長)
⑦リハビリテーション部(理学療法士)
⑧栄養給食部(管理栄養士)
⑨臨床検査部(臨床検査技師)
⑩放射線検査部(診療放射線技師)
⑪薬剤部(薬剤師)
(委員会の業務内容)
第4条 委員会の業務内容を、次のとおり定める。
(1) 医療事故防止策の検討及び研究
(2) 医療事故の分析及び再発予防策の検討
(3) 医療事故防止のための職員に対する提言指導
(4) 医療事故防止のための啓発・教育・広報活動
(5) 医療訴訟に対する対応
(具体的な活動)
第5条 事故防止のために、組織あるいは個人のどこにリスクが潜んでいるのか、検証する必要がある。その一つの方法として、医療事故報告書の提出を求め委員会において分析及び改善策の提案をしていく。医療事故報告書は、各部署の責任者において取りまとめて、担当者と対策など検討のうえ定期委員会にて報告する。
2 医療事故(レベル1以上)が発生した場合には、職員は速やかに各部署の責任者に報告する。各部署の責任者は、事故レベル3以上のものに関しては、すぐに委員長に報告する。
3 安全管理のためのマニュアルを各部署にて作成し、必要に応じて項目及び内容を追加・訂正していくこととする。
4 安全管理対策の研修会などへの参加をする。
5 委員会は報告書に基づいて、分析・対策・検討を定期委員会において行う。結果は委員により各部門に伝達する。
6 医療事故の重大さに応じて、管理者・開設者・島根県雲南保健所、更に所轄警察への報告及び公表を行う。
(委員会の開催)
第6条 委員長の招集により原則毎月1回の定期開催とする。必要に応じて委員長の判断で臨時開催できる。また、委員は同部門の職員あるいは意見聴取に必要な人員を1名出席させることができる。
(用語の定義)
第7条 用語の定義を、次のとおり定める。
(1) 医療事故(アクシデント)
医療行為の過程において、医療従事者の責任の有無に関わらず、患者に予見外あるいは許容外の望ましくない事象が生じること。更に、院内で起こる患者の転倒などの偶発的事故も含める。(医療提供者の受けた被害については、範囲外とする。)
(2) 医療過誤
医療事故のうち、医療の過程において医療従事者が当然払うべき業務上の注意を怠ったことにより、患者の心身に何らかの被害を発生させること。
(3) インシデント(ヒヤリ・ハット・キガカリ 今回医療事故レベル0として取り扱う。)
患者に実際の被害は及ぼさなかったが、医療事故に繋がりかねなかった状況。(医療従事者の責任の有無に関わらず。)
(医療事故レベル)
第8条 医療事故レベルを次のとおり定める。
レベル0 インシデント(ヒヤリ・ハット・キガカリ)
レベル1 事故により何らかの影響を与えた可能性があり、観察の強化や心身への配慮が必要な場合
レベル2 事故により何らかの変化が生じ、観察の強化及び検査の必要性が生じた場合
レベル3 事故により治療の必要が生じた場合、また治療のため入院日数が増加した場合
レベル4 事故による障害が一生続く場合
レベル5 事故が主死因となった場合
(医療事故発生時の対処)
第9条 できるだけ速やかに状況を把握し関係者にて協議し、ご本人(必要に応じて家族にも)に十分説明のうえ、回復に努める。診療録は、事実に基づいてわかりやすく記載する。(インシデントの場合は除く。)
*医療事故発生時の報告ルート
当事者は、各部署の責任者にすぐに報告する。担当医を含めて三者で対策を検討し、関係者に情報提供し、上記対策をとる。医療事故レベル3以上の場合は、委員長(病院長)にも報告を行い対応を協議する。夜間・休日の場合は、とりあえず当事者・当直医にて対応する。
夜間・休日の場合は、とりあえず当事者・当直医にて対応する。事故レベルが4以上の重大な事例の場合は、至急委員長(病院長)に連絡をし、対応を協議する。
重大な事故に関しては、各機関への届出・報告を行う。なお、院外への届出・報告・公表にあたっては、事前にご本人・ご家族の意向に十分配慮すること。
(医療事故の届出・報告・公表について)
第10条 警察への届出
医師法第21条の規定に基づく届出(異常死体・異常死産児の届出)のほか、死亡及び重大な障害が発生して、医療過誤により業務上過失致死・業務上過失傷害罪に問われると判断される場合は、警察に速やかに届ける。
2 開設者への報告
医療事故レベル4以上の医療事故か医療事故レベル3であっても、同時に複数の発生があった場合、及び警察に届出を行った事例について、開設者に報告を行う。
3 島根県雲南保健所への報告
医療過誤による事故レベル4・5の事態が発生した場合に報告を行う。また、医療過誤による事故レベル2・3の事態が同時多発した場合に報告を行う。
4 報道機関への公表
公表に当たっては、事前に開設者と協議するとともに、患者やその家族などと公表の範囲を含めて十分に話し合い、患者のプライバシーの保護に十分配慮すること。
(1) 公表対象の医療事故
①医療過誤により、事故レベル4・5の事態が発生した場合
②医慮過誤により、事故レベル3の事態が同時多発した場合
③その他、病院長及び開設者が必要と認めた場合
(2) 公表の範囲
①医療事故名
②事故の日時・場所・年齢・性別など
③事故の発生状況と経過
④事故への対応と経過
⑤事故原因の考察と今後への対応
附則
この訓令は、平成26年4月1日から施行する。