○飯南町食と農の町民条例
平成21年3月24日
条例第1号
(目的)
第1条 この条例は、町民生活において食、環境等の面で農業及び農村地域が果たす役割の重要性にかんがみ、本町の農業及び農村地域を町民が等しくその恩恵を享受する町民共有の財産と位置付け、その振興について、基本理念及びその達成に向けた施策の基本となる事項を定めるとともに、町、町民、農業者、農業団体等の役割を明らかにすることにより、農業及び農村地域の振興に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって本町の農業及び農村地域の持続的な発展並びに町民の安全で安心できる豊かな暮らしの実現に寄与することを目的とする。
(基本理念)
第2条 本町の農業及び農村地域の振興は、次に掲げる事項が推進されることを基本理念(以下「基本理念」という。)として行わなければならない。
(1) 安全で良質な農畜産物の安定的な生産及び供給を通じて、消費者の豊かな食生活の確保及び消費者と生産者の信頼関係の構築を図るとともに、農業及び農村地域の果たす役割について町民の理解が深められること。
(2) 農業の担い手及び農業生産基盤(農地、農業用用排水施設その他の農業生産の基盤をいう。以下同じ。)が確保されるとともに、中山間地域の特性を生かした安定的な農業経営が確立されることにより、将来にわたり自立した農業が持続的に営まれること。
(3) 環境と調和のとれた農業生産活動が行われることにより、環境への負荷が可能な限り低減されること。
(4) 本町の農業及び農村地域がはぐくんできた、水源の涵養、潤いと安らぎを醸し出す景観の形成、自然環境の保全、文化の継承等の多面的な機能が将来にわたって十分に発揮されること。
(町の責務及び役割)
第3条 町は、基本理念に基づき施策を策定し、国、島根県、農業者、農業団体、食品関連事業者(食品の製造、加工、流通若しくは販売又は食事の提供を行う事業者をいう。以下同じ。)及び町民と連携を図りながら、施策を総合的に推進する責務を有する。
2 町は、農業者、農業団体、食品関連事業者又は町民(以下「農業者等」という。)が地域の特性を生かした農業及び農村地域の振興に関する取組を基本理念に即して実施する場合には、当該農業者等に対し、情報の提供、助言その他の必要な支援を行うものとする。
(農業者の役割)
第4条 農業者は、消費者の求める安全で良質な農畜産物の生産及び供給、環境との調和に配慮した農業生産活動、農業生産基盤の維持保全、農村地域の文化の継承等の取組を通じて、活力ある地域づくりに努めるものとする。
2 農業者は、消費者への食の安全及び安心に関する情報発信、消費者との交流等を通じて、本町の農業及び農村地域が消費者からの信頼を得るとともに愛着を持たれるものとなるよう努めるものとする。
(農業団体の役割)
第5条 農業団体は、基本理念に基づき農業者及び生産組織(農業生産活動を共同して行う農業者の組織、委託を受けて農作業を行う組織等をいう。以下同じ。)に対して積極的な支援を行うとともに、基本理念の実現に向けて食品関連事業者及び消費者との連携に取り組むものとする。
2 農業団体は、新たな販路の開拓、有利販売(農畜産物の有する安全性、味等の特徴を生かした宣伝活動により、他の産地との差別化を図り、有利な取引を進めることをいう。)等の流通に関する取組を主体的に行うものとする。
(食品関連事業者の役割)
第6条 食品関連事業者は、消費者に対し、当該食品関連事業者が取り扱う農畜産物に係る生産地、生産方法等の情報を提供し、及び安全で良質な食品を供給すること並びに町内産の農畜産物を利用することを積極的に行うことにより、農業及び農村地域の振興への協力に努めるものとする。
(町民の役割)
第7条 町民は、町内産の農畜産物及びこれを原材料とする食品の消費、生産者との交流活動への参加等を通じ、本町の農業及び農村地域が食、環境等に果たしている役割について理解を深めるよう努めるものとする。
(農業及び農村地域に関する町民の理解の促進)
第9条 町は、農業及び農村地域の果たす役割に関する町民の理解の促進を図るため、地産地消(町内産の農畜産物を町内で消費し、又は利用することをいう。)の推進、食育の推進、食文化の維持保存、自然環境の保全等の町民と一体となって取り組む施策の実施に努めるものとする。
(安全及び安心等の消費者の需要の動向に即した農畜産物の生産及び供給)
第10条 町は、安全及び安心、高品質等の消費者の需要の動向に即した農畜産物の生産及び供給の推進並びに町内産の農畜産物に係る付加価値の向上及び地域ブランドの確立による販売力の強化を図るため、地域における生産者、加工業者及び販売業者の連携によるこれらの取組に対する支援その他の必要な施策の実施に努めるものとする。
(担い手の確保及び育成)
第11条 町は、農業の担い手の確保及び育成を図るため、意欲のある農業者、集落営農組織(集落を基礎とした農業者の生産組織をいう。)、新たに農業に就業しようとする者等に対し、農業の技術の習得及び向上、経営管理能力の向上、経営の法人化等の支援に関する施策の実施に努めるものとする。
(耕作放棄地の発生の防止等の農地の適正な保全)
第12条 町は、農地の適正な保全を図るため、地域の特性に応じて、優良な農地の確保、農地の効率的な利用の促進、耕作放棄地の発生の防止及び解消等に必要な施策の実施に努めるものとする。
(環境と調和した農業の推進)
第13条 町は、環境との調和に配慮したエコ農業の推進を図るため、減化学肥料栽培、減農薬栽培及び有機栽培による農業生産の普及、耕畜連携(米、野菜等を生産する農家と有畜農家が連携し、稲わら、堆肥等の資源を相互に有効活用することにより廃棄物を低減する取組をいう。)の支援に関する施策の実施に努めるものとする。
(農業生産基盤の整備及び生活環境の整備)
第14条 町は、農業の生産性の向上並びに農業及び農村地域の有する多面的な機能の維持保全を図るため、農業生産基盤の計画的な整備、地域が一体となって取り組む農業生産基盤の保全及び有効活用、生活環境の整備その他の快適で魅力ある地域づくりに関する施策の実施に努めるものとする。
附則
この条例は、公布の日から施行する。