○飯南町準用河川管理施設等の構造の技術的基準に関する条例
平成25年3月22日
条例第4号
(趣旨)
第1条 この条例は、河川法(昭和39年法律第167号)第100条第1項において準用する同法第13条第2項の規定に基づき、町長が指定する河川における河川管理施設又は同法第26条第1項の許可を受けて設置される工作物(以下「許可工作物」という。)のうち、主要なものの構造について河川管理上必要とされる技術的基準を定めるものとする。
(1) 計画高水流量 過去の主要な洪水及びこれらによる災害の発生の状況並びに流域及び災害の発生を防止すべき地域の気象、地形、地質、開発の状況等を総合的に考慮して、町長が定めた高水流量をいう。
(2) 計画横断形 計画高水流量の流水を流下させ、背水が河川外に流出することを防止し、河川を適正に利用させ、流水の正常な機能を維持し、及び河川環境の整備と保全をするために必要な河川の横断形で、町長が定めたものをいう。
(3) 流下断面 流水の流下に有効な河川の横断面をいう。
(4) 計画高水位 計画高水流量及び計画横断形に基づいて、又は流水の貯留を考慮して、町長が定めた高水位をいう。
(構造の原則)
第4条 堤防は、護岸、水制その他これらに類する施設と一体として、計画高水位以下の水位の流水の通常の作用に対して安全な構造とするものとする。
(材質及び構造)
第5条 堤防は、盛土により築造するものとする。ただし、土地利用の状況その他の特別の事情によりやむを得ないと認められる場合においては、その全部若しくは主要な部分がコンクリート、鋼矢板若しくはこれらに準ずるものによる構造のものとし、又はコンクリート構造若しくはこれに準ずる構造の胸壁を有するものとすることができる。
(高さ)
第6条 堤防の高さは、計画高水位に0.6メートルを加えた値以上とするものとする。ただし、河川管理上の支障があると認められる場合を除き、計画高水位が堤防に隣接する堤内の土地の地盤高(以下「堤内地盤高」という。)より高く、かつ、その差が0.6メートル未満である区間においては、計画高水流量が1秒間につき50立方メートル未満であり、かつ、次条の規定により定められる堤防の天端幅が2.5メートル以上である場合は、計画高水位に0.3メートルを加えた値以上とすることができる。
2 胸壁を有する堤防の胸壁を除いた部分の高さは、計画高水位以上とするものとする。
計画高水量(単位 1秒間につき立方メートル) | 天端幅(単位 メートル) |
50未満 | 2 |
50以上100未満 | 2.5 |
(盛土による堤防の法勾配等)
第8条 盛土による堤防(胸壁の部分及び護岸で保護される部分を除く。次項において同じ。)の法勾配は、堤防の高さと堤内地盤高との差が0.6メートル未満である区間を除き、50パーセント以下とするものとする。
2 盛土による堤防の法面は、芝等によって覆うものとする。
(護岸)
第9条 流水の作用から堤防を保護するため必要がある場合においては、堤防の表法面に護岸を設けるものとする。
(水制)
第10条 流水の作用から堤防を保護するため、流水の方向を規制し、又は水勢を緩和する必要がある場合においては、適当な箇所に水制を設けるものとする。
(管理用通路)
第11条 堤防には、規則で定めるところにより、河川の管理のための通路(以下「管理用通路」という。)を設けるものとする。
2 管理用通路は、舗装するものとする。ただし、土地利用の状況その他の特別の事情によりやむを得ないと認められる場合は、この限りでない。
(背水区間の堤防の高さ及び天端幅の特例)
第12条 甲河川(河川法第4条第1項に規定する1級河川を含む。以下この条において同じ。)と乙河川が合流することにより乙河川に背水が生ずることとなる場合においては、合流箇所より上流の乙河川の堤防の高さは、第6条第1項の規定により定められるその箇所における甲河川の堤防の高さ(甲河川が1級河川である場合においては、河川管理施設等構造令(昭和51年政令第199号。以下「政令」という。)第20条第1項の規定により定められるその箇所における堤防の高さ)を下回らないものとするものとする。ただし、堤内地盤高が計画高水位より高く、かつ、地形の状況等により治水上の支障がないと認められる区間及び逆流を防止する施設によって背水が生じないようにすることができる区間にあっては、この限りでない。
(連続しない工期を定めて段階的に築造される堤防の特例)
第14条 堤防の地盤の地質、対岸の状況、上流及び下流における河岸及び堤防の高さその他の特別の事情により、連続しない工期を定めて段階的に堤防を築造する場合においては、それぞれの段階における堤防について、計画横断形に係る堤防(以下「計画堤防」という。)の高さと当該段階における堤防の高さとの差に相当する値を計画高水位から減じた値の水位を計画高水位とみなす。
(構造の原則)
第15条 床止めは、計画高水位以下の水位の流水の作用に対して安全な構造とするものとする。
2 床止めは、付近の河岸及び河川管理施設の構造に著しい支障を及ぼさない構造とするものとする。
(護床工及び高水敷保護工)
第16条 床止めを設ける場合において、これに接続する河床又は高水敷の洗掘を防止するため必要があるときは、適当な護床工又は高水敷保護工を設けるものとする。
(護岸)
第17条 床止めを設ける場合においては、流水の変化に伴う河岸又は堤防の洗掘を防止するため、規則で定めるところにより、護岸を設けるものとする。
(魚道)
第18条 床止めを設ける場合において、魚類の遡上等を妨げないようにするため必要があるときは、規則で定めるところにより、魚道を設けるものとする。
(構造の原則)
第19条 堰は、計画高水位以下の水位の流水の作用に対して安全な構造とするものとする。
2 堰は、計画高水位以下の水位の洪水の流下を妨げず、付近の河岸及び河川管理施設の構造に著しい支障を及ぼさず、並びに堰に接続する河床及び高水敷の洗掘の防止について適切に配慮された構造とするものとする。
(可動堰の可動部の径間長)
第21条 可動堰の可動部の径間長(隣り合う堰柱の中心線間の距離をいう。)は、川幅の値とするものとする。ただし、河川の状況、地形の状況等により治水上の支障がないと認められるときは、この限りでない。
(可動堰の可動部のゲートの構造)
第22条 可動堰の可動部のゲート(バルブを含む。以下この条において「ゲート」という。)は、確実に開閉し、かつ、必要な水密性及び耐久性を有する構造とするものとする。
2 ゲートの開閉装置は、ゲートの開閉を確実に行うことができる構造とするものとする。
3 ゲートは、予想される荷重に対して安全な構造とするものとする。
4 ゲートに作用する荷重としては、ゲートの自重、貯留水による静水圧の力、貯水池内に堆積する泥土による力、地震時におけるゲートの慣性力、地震時における貯留水による動水圧の力及びゲートの開閉によって生じる力を採用するものとする。
5 前各項に規定するもののほか、ゲートの構造の基準に関し必要な事項は、規則で定める。
(可動堰の可動部の引上げ式ゲートの高さ)
第23条 可動堰の可動部の引上げ式ゲートの最大引上げ時における下端の高さは、計画高水位に0.6メートルを加えた値以上で、当該地点における河川の両岸の堤防(計画横断形が定められている場合において、計画堤防の高さが現状の堤防の高さより低く、かつ、治水上の支障がないと認められるとき、又は計画堤防の高さが現状の堤防の高さより高いときは、計画堤防)の表法肩を結ぶ線の高さを下回らないものとするものとする。
(可動堰の可動部の引上げ式ゲートの高さの特例)
第24条 背水区間に設ける可動堰の可動部の引上げ式ゲートの最大引上げ時における下端の高さは、治水上の支障がないと認められるときは、前条の規定にかかわらず、次に掲げる高さのうちいずれか高い方の高さ以上とすることができる。
(1) 当該河川に背水が生じないとした場合に定めるべき計画高水位に0.6メートルを加えた高さ
(2) 計画高水位
(管理施設)
第25条 可動堰には、必要に応じ、管理橋その他の適当な管理施設を設けるものとする。
(構造の原則)
第28条 水門及び樋門は、計画高水位以下の水位の流水の作用に対して安全な構造とするものとする。
2 水門及び樋門は、計画高水位以下の水位の洪水の流下を妨げず、付近の河岸及び河川管理施設の構造に著しい支障を及ぼさず、並びに水門又は樋門に接続する河床及び高水敷の洗掘の防止について適切に配慮された構造とするものとする。
(構造)
第29条 水門及び樋門(ゲート及び管理施設を除く。)は、鉄筋コンクリート構造又はこれに準ずる構造とするものとする。
2 樋門は、堆積土砂等の排除に支障のない構造とするものとする。
(断面形)
第30条 河川を横断して設ける水門及び樋門の流水を流下させる部分の断面形は、計画高水流量を勘案して定めるものとする。
2 前項の規定は、河川以外の水路が河川に合流する箇所において当該水路を横断して設ける水門及び樋門について準用する。
2 河川を横断して設ける樋門で2門以上のゲートを有するものの内法幅は、5メートル以上とするものとする。ただし、内法幅が内法高の2倍以上となるときは、この限りでない。
(ゲート等の構造)
第32条 水門及び樋門のゲートは、確実に開閉し、かつ、必要な水密性を有する構造とするものとする。
2 水門及び樋門のゲートは、鋼構造又はこれに準ずる構造とするものとする。
3 水門及び樋門のゲートの開閉装置は、ゲートの開閉を確実に行うことができる構造とするものとする。
(水門のゲートの高さ等)
第33条 水門のカーテンウォールの上端の高さ又はカーテンウォールを有しない水門のゲートの閉鎖時における上端の高さは、水門に接続する堤防(計画横断形が定められている場合において、計画堤防の高さが現状の堤防の高さより低く、かつ、治水上の支障がないと認められるとき、又は計画堤防の高さが現状の堤防の高さより高いときは、計画堤防)の高さを下回らないものとするものとする。
(管理施設等)
第34条 第25条の規定は、水門及び樋門について準用する。
2 水門は、規則で定めるところにより、管理用通路としての効用を兼ねる構造とするものとする。
(揚水機場及び排水機場の構造の原則)
第36条 揚水機場及び排水機場は、河岸及び河川管理施設の構造に著しい支障を及ぼさない構造とするものとする。
2 揚水機場及び排水機場のポンプ室(ポンプを据え付ける床及びその下部の室に限る。)、吸水槽及び吐出水槽その他の調圧部は、鉄筋コンクリート構造又はこれに準ずる構造とするものとする。
(排水機場の吐出水槽等)
第37条 樋門を有する排水機場には、吐出水槽その他の調圧部を設けるものとする。ただし、樋門が横断する河岸又は堤防の構造に支障を及ぼすおそれがないときは、この限りでない。
2 吐出水槽その他の調圧部の上端の高さは、排水機場の樋門が横断する堤防(計画横断形が定められている場合において、計画堤防の高さが現状の堤防の高さより低く、かつ、治水上の支障がないと認められるとき、又は計画堤防の高さが現状の堤防の高さより高いときは、計画堤防)の高さ以上とするものとする。
(流下物排除施設)
第38条 揚水機場及び排水機場には、土砂、竹木その他の流下物を排除するため、沈砂池、スクリーンその他の適当な流下物排除施設を設けるものとする。ただし、河川管理上の支障がないと認められるときは、この限りでない。
(樋門)
第39条 揚水機場及び排水機場の樋門と樋門以外の部分とは、構造上分離するものとする。ただし、樋門が横断する河岸又は堤防の構造に支障を及ぼすおそれがないときは、この限りでない。
2 第31条第2項の規定は、揚水機場又は排水機場の樋門でポンプによる揚水又は排水のみの用に供されるものについては、適用しない。
2 取水塔は、鉄筋コンクリート構造又はこれに準ずる構造とするものとする。
3 取水塔の河床下の部分には、直接取水する取水口を設けてはならない。ただし、取水口の規模及び深さ等を考慮して治水上の支障がないと認められるときは、この限りでない。
(河川区域内に設ける橋台及び橋脚の構造の原則)
第42条 河川区域内に設ける橋台及び橋脚は、計画高水位以下の水位の流水の作用に対して安全な構造とするものとする。
2 河川区域内に設ける橋台及び橋脚は、計画高水位以下の水位の洪水の流下を防げず、付近の河岸及び河川管理施設の構造に著しい支障を及ぼさず、並びに橋台又は橋脚に接続する河床及び高水敷の洗掘の防止について適切に配慮された構造とするものとする。
(橋台)
第43条 河岸又は背水区間に係る堤防(計画横断形が定められている場合は、計画堤防。以下この条において同じ。)に設ける橋台は、流下断面内に設けてはならない。ただし、河川の状況、地形の状況等により治水上の支障がないと認められるときは、この限りでない。
2 堤防に設ける橋台(前項の橋台に該当するものを除く。)は、堤防の表法肩より表側の部分に設けてはならない。
3 堤防に設ける橋台の表側の面は、堤防の法線に平行して設けるものとする。ただし、堤防の構造に著しい支障を及ぼさないために必要な措置を講ずるときは、この限りでない。
4 堤防に設ける橋台の底面は、堤防の地盤に定着させるものとする。
(橋脚)
第44条 橋脚は、河道内に設けてはならない。ただし、河川の状況、地形の状況等により治水上の支障がないと認められるときは、この限りでない。
2 橋面(路面その他規則で定める橋の部分をいう。)の高さは、背水区間においても、橋が横断する堤防(計画横断形が定められている場合において、計画堤防の高さが現状の堤防の高さより低く、かつ、治水上の支障がないと認められるとき、又は計画堤防の高さが現状の堤防の高さより高いときは、計画堤防)の高さ以上とするものとする。
2 前項の規定による場合のほか、橋の下の河岸又は堤防を保護するため必要があるときは、河岸又は堤防をコンクリートその他これに類するもので覆うものとする。
(管理用通路の構造の保全)
第47条 橋(取付部を含む。)は、規則で定めるところにより、管理用通路の構造に支障を及ぼさない構造とするものとする。
(構造の原則)
第49条 伏せ越しは、計画高水位以下の水位の流水の作用に対して安全な構造とするものとする。
2 伏せ越しは、計画高水位以下の水位の洪水の流下を妨げず、並びに付近の河岸及び河川管理施設の構造に著しい支障を及ぼさない構造とするものとする。
(構造)
第50条 堤防(計画横断形が定められている場合は、計画堤防を含む。以下この項において同じ。)を横断して設ける伏せ越しにあっては、堤防の下に設ける部分とその他の部分とは、構造上分離するものとする。ただし、堤防の地盤の地質、伏せ越しの深さ等を考慮して、堤防の構造に支障を及ぼすおそれがないときは、この限りでない。
2 第29条の規定は、伏せ越しの構造について準用する。
(ゲート等)
第51条 伏せ越しには、流水が河川外に流出することを防止するため、河川区域内の部分の両端又はこれに代わる適当な箇所に、ゲート(バルブを含む。次項において同じ。)を設けるものとする。ただし、地形の状況により必要がないと認められるときは、この限りでない。
(深さ)
第52条 伏せ越しは、低水路(計画横断形が定められている場合は、当該計画横断形に係る低水路を含む。以下この条において同じ。)の河床の表面から深さ2メートル以上の部分に設けるものとする。ただし、計画高水流量が1秒間につき100立方メートル未満である区間においては、低水路の河床の表面から深さ2メートル以上の部分に設けることができる。
(適用除外)
第53条 この条例の規定は、次に掲げる河川管理施設又は許可工作物(以下「河川管理施設等」という。)については、適用しない。
(1) 治水上の機能を早急に向上させる必要がある小区間の河川における応急措置によって設けられる河川管理施設等
(2) 臨時に設けられる河川管理施設等
(3) 工事を施行するために仮に設けられる河川管理施設等
(4) 特殊な構造の河川管理施設等で、町長がその構造が規定によるものと同等以上の効力があると認めるもの
(計画高水流量等の決定又は変更があった場合の適用の特例)
第54条 河川管理施設等が、これに係る工事の着手(許可工作物にあっては、河川法第26条第1項の許可。以下この条において同じ。)があった後における計画高水流量、計画横断形又は計画高水位(以下この条において「計画高水流量等」という。)の決定又は変更によってこの条例の規定に適合しないこととなった場合においては、当該河川管理施設等については、当該計画高水流量等の決定又は変更がなかったものとみなして当該規定を適用する。ただし、工事の着手が当該計画高水流量等の決定又は変更の後である改築(災害復旧又は応急措置として行われるものを除く。)に係る河川管理施設等については、この限りでない。
(小河川の特例)
第55条 計画高水流量が1秒間につき100立方メートル未満の小河川に設ける河川管理施設等については、構造令施行規則第36条で定めるところにより、この条例の規定によらないものとすることができる。
附則
(施行期日)
1 この条例は、平成25年4月1日から施行する。