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令和5年第2回飯南町議会定例会所信表明

ページID:0006396 更新日:2023年3月6日更新 印刷ページ表示

町長所信表明及び提案理由説明要旨

 本日飯南町議会が開会し、町長が次のとおり所信表明を行いました。

町長所信表明及び提案理由説明要旨(令和5年第2回定例会) [PDFファイル/758KB]

 本日、令和5年第2回飯南町議会定例会を招集いたしまして、開会の運びとなりましたことを、はじめにあたりまして厚くお礼申し上げます。
 提案いたしました諸議案の説明に先立ちまして、町政運営に臨む私の基本的な考え方と主な施策について、所信の一端を申し上げます。

はじめに

 はじめに、世界的な出来事として、ロシアによるウクライナ侵攻の開始から1年が経過いたしましたが、未だに終わりが見えない戦闘が続いております。この戦争が長期化することなく、早期の停戦、和平が訪れることを願ってやみません。
 また、先月6日にトルコ南部のシリア国境近くで起きたマグニチュード7.8の地震においては、両国であわせて5万人以上が犠牲となったとの報道があり、被災者は苦しい避難生活を余儀なくされているとのことであります。
 亡くなられた方々に、心より哀悼の意を表しますとともに、改めて自然災害の恐ろしさを感じ、災害への備えについて考えさせられたところであります。
 国内に目を向けますと、新型コロナウイルスの感染状況が、減少傾向にあります。
 本年5月8日からは、コロナウイルスの感染症法上の位置づけが、結核などの危険度が高い「2類相当」から、季節性インフルエンザと同じ「5類」に引き下げられることとなりました。
 「5類」への移行によって、医療費の負担やワクチン接種など、医療の見直し案が少しずつ明らかになりつつありますが、正式には確定していませんので、引き続き町民の皆様の命と生活を守るため、関係機関と緊密に連携しながら、感染拡大防止や医療提供体制の確保、ワクチン接種の促進に取り組んでまいります。

 さて、私が令和3年1月に町長に就任し、2年が経過いたしました。迎える令和5年度は、任期4年のうち、折り返しに入りました。これまで私は、重点的な政策として、
(1)「子どもたちの声が聞こえるまちづくり(少子化対策)」
(2)「安心安全なまちづくり」
(3)「産業が元気なまちづくり」
(4)「定住を進めるまちづくり」
(5)「歴史文化を感じるまちづくり」
 を公約に掲げ、総合振興計画の目標達成に向けて町政を進めてまいりました。これまでの事業の進捗や成果等を検証しつつ、本町で暮らす全ての町民の皆様が、未来への夢と希望を抱き、まちへの誇りを持って、「このまちで暮らして良かった。これからもこのまちに住み続けたい」と心から思っていただけるよう、「笑顔あふれるまち飯南町」の実現に向けて、引き続き全力で取り組んでまいりますので、議員各位並びに町民の皆様のご指導ご協力をお願い申し上げます。

 続いて、5つの重点的政策を進める上で、新年度に取り組むべき主要な事業のうち、最優先課題及び重点施策、特に先導的な施策について申し上げます。

【脱炭素社会の実現に向けた取組】

 はじめに、脱炭素社会の実現に向けた取組についてであります。
 2020年10月、政府は「2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、すなわち2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」ことを宣言されました。この考えのもとは、2015年のパリ協定であり、地球規模の気候変動問題を解決するため、世界共通の長期的な目標として合意されたものであります。
 国内では、国と地方との連携を強化し、2050年までの脱炭素化に向けた取組が進められていますが、本町としても、この取組が世界的に深刻な課題に対する重要な動きであると認識しております。
 本町は、面積の約90%が森林に囲まれた自然豊かなまちであり、この豊かな自然を活かし、本町でも脱炭素社会の実現に向けた取組を推進したいと考えております。

 このことから、今月3日に「飯南町脱炭素のまち宣言」を行い、「2050年に二酸化炭素の排出を全体として実質ゼロにすること」を目指す旨を、町ホームページやSNSを通じて公表しました。
 新年度以降、具体的な動きを加速させたいと考えており、J-クレジット制度の推進、薪ストーブ導入助成の拡充や太陽熱利用設備、蓄電池等の導入助成の追加など「新エネルギー設備の導入補助金」を拡充してまいります。

 また、公用車の「電気自動車やハイブリッド車」への転換など、早い段階から取り組める事業を進めるとともに、脱炭素社会への移行や再生可能エネルギーの導入に向けて、中長期的に取り組むための計画を策定してまいります。

【自治体DXの推進】

 次に、自治体DXの推進についてであります。
 令和2年12月、政府において「デジタル社会の実現に向けた改革の基本方針」が決定され、目指すべきデジタル社会のビジョンとして「デジタルの活用により、一人一人のニーズに合ったサービスを選ぶことができ、多様な幸せが実現できる社会~誰一人残さない、人にやさしいデジタル化~」が示されました。
 また、昨年6月、「デジタル社会の実現に向けた重点計画」が目指すべきビジョンとして閣議決定されました。

 同年12月には、いくつかの重点取組事項が掲げられていますが、本町としましては、
(1)自治体の情報システムの標準化・共通化
(2)マイナンバーカードの普及促進
(3)行政手続きのオンライン化
 以上の3項目を柱として、新年度においては「LINE」を活用した電子申請等の充実、電子入札の開始などを考えており、住民の利便性向上や行政事務の効率化、ICTの利活用による事業推進を図ってまいります。

【こども広場の整備】

 次に、こども広場の整備についてであります。
 来島地区に続いて、新年度は「赤名地区」「志々地区」において、こども広場の整備を進めてまいります。

 赤名地区につきましては、ぼたん園に隣接する「赤名ふれあい公園」を活用して、遊具の新設と駐車場の整備、東屋やトイレ等の改修を行い、子どもたちが思い切り遊び、訪れた方がベンチでゆっくりくつろげる広場として整備を進めてまいります。

 志々地区につきましては、地域の拠点である「さつき会館」敷地内に整備し、放課後子ども教室や公民館事業でも活用できるよう、複合遊具と東屋を整備する計画としております。子どもたちの遊び場だけでなく、地域の方々が気軽に集まれるような交流の場となることを大いに期待しております。

 なお、頓原地区につきましては、本年度の取組として「道の駅頓原周辺整備」の検討を行っており、併せて緑地公園の活用方法も考えております。この検討の中で、こども広場の整備を進めてまいります。

 地区ごとに特色あるこども広場を整備することで、元気に走り回る子どもたちの声が、まちの至るところで響きわたる環境づくりを進めてまいります。

 それでは、総合振興計画の分野別の基本方針にもとづき、予算案に盛り込みました主要な施策について申し上げます。

1.自治・協働

はじめに、自治・協働についてであります。

【公立大学法人島根県立大学との連携】

 1月23日、本町と公立大学法人島根県立大学による「包括連携協定」を締結いたしました。
 本町は、これまでも同大学からの職場体験の受け入れ、地域医療のための学習の場の提供など、協力関係を築いております。
 このたびの協定締結により、人材育成やまちづくり、産業振興などの分野において、相互の連携と協力関係をさらに強化し、協働での取組を進めてまいります。

【書籍「余白の中で」の発行】

 次に、書籍「余白の中で」の発行についてであります。
 本年度の地域づくり事業の一つとして、ブランドメッセージである「余白あります。」を活用して飯南町を周知するために、書籍「余白の中で」の製作を行っております。
 この本は、住民やプロのライター、写真家の方が、様々な視点から飯南町の暮らしぶりなどを表現いただいており、町民の皆様にも楽しんでいただける内容となっております。
 発売日は来月3日を予定していますが、この書籍を活用し、町内外の方に「本町の魅力や愛着」を感じていただけるよう、発信してまいります。

【ふるさと回想館の改修】

 次に、ふるさと回想館の改修についてであります。
 旧小田小学校区である小田真木地区及び上来島地区横路には、ふるさと回想館とたかばし生活改善センターの2つの施設があり、地域の皆様を中心に活用いただいております。
 これらの施設は、活用の目的が重複している部分があり、老朽化も進んでいることから、今後の両施設の在り方について、地域の皆様と意見交換してまいりました。
 このことを踏まえ、両施設の機能を一本化するため、新年度においてふるさと回想館を改修してまいります。たかばし生活改善センターにつきましては、ふるさと回想館の改修後、解体、又は譲渡・売却する方向で処分を進めてまいります。

【財政の健全化】

 次に、財政の健全化についてであります。
 近年では、本庁舎建設や拠点施設の整備、光ケーブル整備など、大規模事業の執行により投資的経費が増大しており、それに伴う本年度末の公債費(借金)残高は103億円になる見込みであり、目標上限値の100億円を超える状況が続いております。
 そのような中、本町の歳入の半分を占める地方交付税や、町税などの一般財源は、人口減少などの影響により増加が見込めず、歳出では、扶助費や維持管理費、特に消防・ごみ処理・CATV・介護保険事業などの「広域行政に係る負担金」が近年増加傾向にあり、財政運営を進める上では、基金を取り崩していかなければ、収支均衡がとれない状況にあります。
 健全な財政状況でなければ、質の高い行政サービスの提供ができなくなります。このことからも、今後の財政運営のポイントとして、
(1)行政の効率化 効率的でスリムな組織体制、公共施設の管理運営費の適正化
(2)事務事業の見直し 公共投資の計画的な執行、町債の発行抑制と繰上償還の実施
(3)財源の確保 税収・ふるさと納税、基金運用、財産処分などによる財源の確保

 この3つの柱を念頭に、攻めと守りのバランスの取れた予算編成を行い、健全な財政運営に向け取り組んでまいります。

2.教育・文化・子育て

次に、教育・文化・子育てについてであります。

【教育環境の充実】

 はじめに、教育環境の充実についてであります。
 新年度も引き続き、保小中高一貫教育を推進する上で、キャリアパスポートを活用しながら、子どもたちの学びを応援してまいります。
 また、支援を要する児童生徒に向き合いながら、きめ細かな指導を行うために、関係機関と連携した相談体制の整備、小中学校の通級指導教室、スクールサポーターの増員のほか、県の学校福祉連携モデル事業を活用した教職員への指導や研修など、相談・指導体制を充実してまいります。
 さらに、ICTを活用した教育の推進のために、教職員への研修やタブレット活用授業のサポート、通信環境の改善など、必要な体制を整備してまいります。
 教育環境基本方針につきましては、昨年度、島根大学教育学部 作野広和教授を委員長として「飯南町教育環境基本方針検討委員会」を立ち上げ、教育の現状と課題の検証や、今後の飯南町にふさわしい教育環境の検討が進められております。
 新年度は、これまでの議論を深め、学校区ごとの意見交換会を行うなど、保護者や町民の皆様のご意見を踏まえて答申いただくこととなっており、私としましても、この答申に基づいて今後の教育環境の在り方について方向性を示したいと考えております。

 また、この検討を進める中で、「地域とともにある学校づくり」の重要性が再認識されていることから、小中学校単位で「学校運営協議会(コミュニティスクール)」を設置し、学校と地域の信頼関係を深め、より良い教育環境と地域づくりにつなげてまいります。
協議会の委員は、非常勤の特別職として学校の運営に参画いただくことから、関係条例の改正を本定例会に提案しております。

【学校給食の魅力化】

 次に、学校給食の魅力化についてであります。
 児童生徒に安心安全で、地域食材をたくさん使った美味しい学校給食を提供するために、新年度は「学校給食魅力化事業」に取り組んでまいります。
 奥出雲和牛や飯南ポーク、飯南米や高原野菜など、飯南町の四季を感じることができる食材を提供することで、子どもたちに「生産者や給食を作ってくださる方への感謝の気持ち」を育み、食材の生産プロセスを生命地域教育で探求するなどして「食育」につなげてまいります。

【飯南高校の魅力化】

 次に、飯南高校の魅力化についてであります。
 飯南高校では新年度から多様性を認め合える学校環境のひとつとして、スラックスやスカートのほかネクタイやリボンなど、性別に関係なく生徒が自由に選ぶことができる新制服に移行することとなりました。
 この制服は、同校の開校以来、初めての変更であり、飯南町の自然とスクールカラーの緑を取り入れたデザインとなっております。
 また、「教育魅力化推進員」の配置につきましては、他校との差別化や保小中高の連携も含め、地域に根ざした飯南高校魅力化の一翼を担っていただくため、新年度から専任の野球部指導者を「飯南町教育魅力化推進員」として配置したいと考えております。
 昨年の飯南高校野球部の活躍は、生徒募集においても大変注目されました。
 安定的な指導体制によって、部活動を通じた飯南高校の魅力化を高めていくと同時に、スポーツを通じた町内小中学校の指導者育成にも努めていただくこととしております。

【国民スポーツ大会の推進】

 次に、国民スポーツ大会の推進についてであります。
 令和12年に開催される「国民スポーツ大会・全国障害者スポーツ大会」に向けて設立された飯南町ソフトボール協会につきましては、新年度は、ソフトボール競技の普及啓発と公認審判員や記録員の育成を最優先に進められますが、町としましても、競技団体に必要な支援を行ってまいります。
 大会運営に必要な施設整備につきましては、島根県スポーツ協会、島根県ソフトボール協会など関係の皆様のご助言をいただきながら、年次計画で進めてまいります。
 琴引スキー場につきましては、国民スポーツ大会冬季大会の県内競技練習の拠点として、令和5年度からの2年間、県の支援により集中的に、人工芝や人工造雪機の機能強化のための改修を行ってまいります。
 アルペン、クロスカントリーの選手の育成において、練習環境の充実が図られることにより、国民スポーツ大会での入賞に繋がることを期待しております。

【歴史文化を感じるまちづくり】

 次に、歴史文化を感じるまちづくりについてであります。
 飯南町民俗資料館には、国の民俗文化財指定を受けた「奥飯石及び周辺地域の積雪期用具」が保存展示されています。しかしながら、その価値が十分に認知されていない現状があることから、新年度は、そのすばらしさを町民の皆様に認識していただくため、講師を招いた講演会を開催いたします。
 また、子どもたちが優れた芸術を肌で感じ、豊かな感性を育むための機会を提供することにより、歴史文化を感じるまちづくりを進めてまいります。

【滞在型地域交流拠点施設の整備】

 次に、滞在型地域交流拠点施設の整備についてであります。
 飯南高校における新年度の入学志願者の状況は、本年度(65名)より増加し、72名(町内23名、町外49名うち県外12名)となる見込みであります。
 今後も、町内からの入学者数が減少していくことが危惧されることから、2学級存続のため、本町の生徒数を増やす取組を進めることはもとより、親元を離れて生活する県外、町外生が安心安全に生活できる環境の整備が必要であります。
 このことから、地元住民と飯南高校生の交流、地域と学校をつなぐ滞在機能を有する施設の整備を、令和7年4月供用の開始に向け、取り組んでまいります。

【子育て支援の充実】

 次に、子育て支援の充実についてであります。
 2歳未満の子を対象に子育て用品を支給する「子育て世帯日常生活用品給付事業」につきましては、郵便局と連携し、用品を直接利用者の自宅へ送付できるよう、サービスの拡充を図ってまいります。
 子育て支援の新たな取組につきましては、町産材を活用した椅子や積み木などの木工品を、お子様の誕生の記念にプレゼントしたいと考えております。
木工品を、日々の子育てやお子様との触れ合いに活用いただくことで、子育て支援の充実を図るとともに、本町に対する愛着や満足度の向上に繋がることを期待しております。
 不妊治療費の補助につきましては、不妊治療の一部が保険適用になったことから、これまで特定不妊治療において自己負担が発生していた方の自己負担を軽減するよう、助成事業を見直してまいります。

【パートナーシップ宣誓制度】

 次に、パートナーシップ宣誓制度についてであります。
 「パートナーシップ宣誓制度」とは、同性同士の婚姻が法的に認められていない日本において、自治体が独自にLGBTQなどの「性的マイノリティ」と言われる方のカップルに「パートナーシップ宣誓書受領証」を交付することで、家族同様のサービスの提供を受けやすくする制度であります。
 この制度の導入は全国的に広がりつつあり、島根県におきましても、本年10月からの開始に向けて準備を進められております。
 本町におきましても、県の対応に併せて、導入についての検討を進めてまいります。

3.産業

次に、産業についてであります。

【農業の振興】

 はじめに、農業の振興についてであります。
 水田農業につきましては、良質米として引き合いの強い飯南米のブランド化に向け、取組を一層強化してまいります。
 都市部を中心とした積極的なPR活動を本格的に開始し、より付加価値の高い米として認知してもらうために、エコファーマー登録農家を増やし、「飯南米はエコファーマーが作っているエコロジー米」として、イメージ展開できる体制を整えてまいります。
 深刻な課題となっている「担い手不足」に対する対応につきましては、飯南町農業担い手支援センターが中心となり、各地区が実情に応じて支えあって農業が営めるよう、営農組織の広域連携や地域農業を主導的に牽引する担い手の育成を検討してまいります。
 農業の収益性確保につきましては、生産性向上や作業省力化を図る基盤整備を確実に推進してまいります。琴麓野萱など、事業着手済み地区の早期完成を目指すとともに、要望のある各地区が早期に事業採択されるよう、調整してまいります。
 また、近年全国的に取組が広がる「IT等先端技術を活用したスマート農業技術」の普及も推し進めてまいります。
 園芸につきましては、引き続き関係機関が協力し、パプリカ、サツマイモ、白ネギなど、町が推奨する品目の産地化を図るとともに、新規就農者の初期費用の負担を軽減するリースハウスを整備し、安心して就農できる環境整備に取り組んでまいります。
 有機農業につきましては、令和3年5月に国から「みどりの食料システム戦略」が示され、取組が始まっております。
 本町においても、有機農業に関する支援制度や農家負担を軽減する技術開発など、関連する情報に注視し、農家の収益性が確保され、安心して取り組める環境が整うことを見極めながら普及を進めてまいります。

【畜産の振興】

 次に、畜産の振興についてであります。
 昨年は、5年に一度の和牛のオリンピックである全国和牛能力共進会が鹿児島県で開催され、しまね和牛は上位入賞を獲得しました。中でも第6区総合評価群の肉質の部では、雲南地域の出品牛が日本一の栄冠に輝き、当地域の和牛ブランドである奥出雲和牛の品質レベルの高さが全国に知れ渡る結果となりました。
 本町としましても、奥出雲和牛の更なるブランド力の強化を図り、より一層の品質向上に向けた和牛改良を促進することで、町内産和牛の有利販売、畜産農家の所得向上に繋げてまいります。
 飯南町堆肥センターにつきましては、現在の製造機能では、製品の保管や販売方法が限定されるため、恒常的な経営赤字が続いております。この問題を解決するため、保管効率の向上、販売方法の多様化に対応できるよう、新たにペレット製造設備を導入し、経営改善に繋げてまいります。
 肥料高騰の対策につきましては、堆肥の活用に注目が集まっております。幸いにも本町は酪農業が盛んで、堆肥の原材料は十分に確保できる状況にあります。
 堆肥センターをしっかりと稼働させ、町内資源の有効活用を促進してまいります。

【林業の振興】

 次に、林業の振興についてであります。
 本町の豊富な森林を有効に活用するには、原木生産を支える林業就業者の確保が重要ですが、町内在住の林業就業者は、非常に少ない状況にあります。
 本町には、県立農林大学校林業科が置かれ、他の自治体にない強みがありますが、大学校から毎年輩出される優秀な人材の多くを、町内に留めることができていない状況にあります。
 これを改善するため、町内森林整備の主たる事業体である飯石森林組合と農林大学校、本町の3者で、近く地域の林業振興や就業者確保を目的とした連携協定を締結することとなりました。
 今後は、産官学がこの協定に基づき緊密に連携し、町内での森林整備の一層の推進と町内で活躍する優秀な林業就業者の確保に向け、取り組んでまいります。
 有害鳥獣対策につきましては、町内で増えている二ホンジカの対策を強化してまいります。町内でのシカ被害は、現在のところ造林地を中心に確認されておりますが、個体数の増加が進めば、農作物にも被害が及ぶ懸念もあります。
 昨年度から取り組んでおります「猟友会によるシカの重点捕獲事業」を継続するとともに、新たに造林地での集中捕獲事業を始め、シカの個体数削減に取り組んでまいります。
 J-クレジット販売につきましては、昨年から町有林を活用したクレジット販売を開始しており、本年認証を受けたクレジット(88t-CO2)は、町内外の企業8社に購入いただき完売となりました。
 現在、新たなクレジットの追加認証に向けて手続きを進めており、引き続き企業への積極的なPR販売に取り組むとともに、購入いただいた企業との繋がりを大切にしながら、関係の強化に努めてまいります。

【商工業の振興】

 次に、商工業の振興についてであります。
 飯南振興カード会加盟店のポイントサービスにつきましては、飯南町商工会及び飯南振興カード会において、「町内電子地域振興カード」の発行を検討されております。
 これまで行っていたポイントシールやプレミアム商品券などを電子化することで、ポイントカードやスマートフォンでの利用が可能となります。
各種イベントでのポイント付与や公共施設など、町内の様々な場所でのポイント利用も検討いただいており、町としましても、地域経済とコミュニティの活性化が図られることを期待しております。
 新たな起業支援につきましては、島根県及び信用保証協会と連携して、創業者の金融機関等から受ける融資の保証料を全額支援し、創業者の負担をゼロにする制度を設けます。
 この制度を活用いただき、経営環境の厳しい中山間地域において、新たに事業を始めようとする創業者に対する支援を強化してまいります。
 連坦地の街路灯につきましては、飯南町商工会により設置されておりますが、老朽化が進み、倒壊の危険のあった一部の街路灯は、既に撤去されております。
 町としましては、この街路灯が安心安全なまちづくりにつながっていることから、頓原、八神、赤名、来島の連坦地の街路灯を順次更新してまいります。

【観光の振興】

 次に、観光の振興についてであります。
 コロナウイルスの感染症法上の位置づけが、「5類」に引き下げられることに伴い、いわゆる「アフターコロナ」「ウィズコロナ」と言われるように、コロナウイルスと向き合いながらも、観光振興の強化に努めていく必要があると考えております。
 このことから、新年度においては、エリアやテーマごとの広域観光の推進、インバウンド受入体制の充実、ぼたんまつりメインイベントの復活など、状況を見ながら事業の推進を図ってまいります。

【志津見ダム周辺地域の活性化対策】

 次に、志津見ダム周辺地域の活性化対策についてであります。
 平成23年度に策定されました「志津見ダム水源地域ビジョン」につきましては、本年度、これまでの計画の見直しや、時代に沿った目標像、基本方針を国、県、地域の関係団体の皆様と一緒に検討してまいりました。
 今後は、新たなビジョンにより、水源地域における持続可能な取組、志津見ダム及び関連施設を活かした地域づくりを推進してまいります。

4.保健・福祉

次に、保健・福祉についてであります。

【コロナウイルス対策】

 はじめに、コロナウイルス対策についてであります。
 マスクの着用につきましては、行政が一律にルールとして求めるのではなく、個人の主体的な選択を尊重し、個人の判断に委ねることとされました。
 この見直しは、今月13日から適用されますが、医療機関の受診や高齢者施設等への訪問時、重症化リスクの高い方が混雑した場所に行く時などは、マスクの着用が推奨されております。
 学校でのマスク着用につきましては、来月1日から見直しが適用されることとなり、学校教育活動の実施にあたっては、マスクの着用を求めないことが基本とされております。ただし、基礎疾患等の様々な事情により、マスクの着用を希望する児童生徒に対しては、適切に配慮することとされております。
 マスク着用の見直し後は、本人の意思に反してマスクの着脱を強いることがないようお願いしますとともに、感染症予防として効果的な「換気」や「手洗いなどの手指衛生」につきましては、引き続き心掛けていただきますようお願いいたします。

【健康づくりの推進】

 次に、健康づくりの推進についてであります。
 「長生き体操」につきましては、地域住民が行う健康づくりの場として定着し、45グループ、546名に取り組んでいただいています。新年度から、参加者への特典として「い~にゃんポイント」を付与するなど、事業をさらに推進してまいります。
 介護予防活動につきましては、「長生き体操」が効果的な介護予防となるよう、各会場に理学療法士が巡回し、直接指導できる体制の整備を考えております。
 また、各公民館単位でも健康づくりや介護予防活動に取り組めるよう、活動補助金を準備してまいります。
 乳幼児の健康診査につきましては、本年度は視能訓練士による視覚検査を導入しており、新年度は聴覚検査の費用助成を行うこととしております。
子ども達の発育はもとより、早期発見、早期治療につながるよう努めてまいります。
 がん又は臓器移植の治療に係る経費につきましては、高額医療費用制度等により一定の支援がありますが、がん等の治療を受けることで、それまでに接種した予防接種の免疫が失われることがあり、それに伴う定期予防接種の再接種は自己負担となっております。
 このことから、「がん等の治療後に予防接種を再接種される際の助成」を来月から実施し、該当者を支援してまいります。

【地域医療の維持・充実】

 次に、地域医療の維持・充実についてであります。
 「医療及び福祉従事者の確保」につきましては、これまで町の助成事業において、看護師や介護福祉士、保育士などの人材の確保ができております。
 新年度においては、人材が不足している薬剤師の確保に取り組んでまいります。
 新年度の医師の体制につきましては、引き続き島根県、島根大学などと、非常勤の先生方のご理解、ご協力により、本年度と同様の診療体制を維持し、引き続き安定した医療を提供できる見込みであります。
 持続可能な地域医療体制を確保するために策定する「公立病院経営強化プラン」につきましては、飯南病院におけるプランが本年度中に策定できるよう、最終的な調整を行っております。
 令和5年度から令和9年度までの5年間、このプランに従い、「医療従事者の確保」「人口減少や少子高齢化による医療需要の変化への対応」「ウイルス感染拡大時の対応」など、地域医療が抱える課題の解決に取り組んでまいります。

【高齢者福祉グランドデザイン】

 次に、高齢者福祉グランドデザインについてであります。
 職員の高齢化や担い手不足が、依然として解消されておらず、住民福祉の向上が危ぶまれている現状を改善するため、持続可能な福祉サービスの在り方を検討しており、「グランドデザイン」の策定をめざしております。
 主に、町内2つの社会福祉法人を中心に協議を重ねており、分散している福祉サービスを頓原、赤来の地域毎に、それぞれ特色あるサービス展開ができるよう、特定のサービスを一方へ集中することも視野に入れ、医療と介護福祉の切れ目ないサービスが提供できるよう、ハード、ソフト両面での構築を目指しております。
 しかしながら、本町における今後の地域包括医療ケアやまちづくりに大きく影響するものであるため、具体的な方針や対策について、関係者の皆様の声をもう少しお聞きしながら、慎重に検討を進めてまいります。

5.生活環境

次に、生活環境についてであります。

【定住住宅の整備】

 はじめに、定住住宅の整備についてであります。
 町産材をふんだんに活用した板倉構法による定住住宅「八神里山住宅」につきましては、先月下旬に完成し、今月4日に内覧会及びトークイベントを開催いたしました。
 既に県外からの入居予定もありますが、引き続き入居者の募集を行ってまいります。
 セミオーダーによる定住促進賃貸住宅につきましては、八神地区に建築予定地を整備しておりますが、入居者が決定していないことから、新年度において引き続き入居者の募集を行ってまいります。

【公営住宅の整備】

 次に、公営住宅の整備についてであります。
 新たな公営住宅の整備につきましては、既存の単身者向け住宅の待機者や入居相談、町外からの通勤者が多数見られる状況にあることから、新年度において頓原地内での単身用住宅の整備に向け、設計を実施してまいります。
 赤名地内にある上市第3団地につきましては、老朽化が進んでいることから、新年度において解体し、廃止することとしております。
 古城団地につきましては、年次計画(令和3年度~令和6年度)に基づき、バリアフリー等の修繕を実施するとともに、居住環境の改善に努めてまいります。

【地域防災力の向上】

 次に、地域防災力の向上についてであります。
 ここ数年、コロナ禍により町全体での防災訓練を中止しておりましたが、新年度は、4年ぶりに町全体での訓練を6月4日に実施する予定であります。
 令和3年7月豪雨では、町全体に避難指示や緊急安全確保を発令しました。同じような災害がいつ発生するかわかりません。日頃から、そして繰り返しの訓練が大切でありますので、町民の皆様のご参加をお願いいたします。

【災害復旧事業】

 次に、災害復旧事業についてであります。
 令和3年7月豪雨災害の復旧工事の進捗状況につきましては、先月末時点で農地災害77%、農業用施設災害65%、道路災害92%、河川災害40%が完了しております。
 昨年度に発注し本年度に繰越して実施している未完了の復旧工事につきましては、建設業者の皆様には鋭意ご努力いただいていますが、県の災害復旧工事も数多くある中、人員の確保等の要因から、全体で9件の工事について、更なる事業年度の繰越をせざるを得ない状況となっております。
 発注が残っております林道災害につきましては、4路線11箇所を、新年度で発注することとしております。

【道路網の整備】

 次に道路網の整備についてであります。
 町道改良につきましては、町道八神千原線、町道頓原長谷線の完成に向け、引き続き進捗を図ってまいります。
 昨年度着手した町道新市赤名線につきましては、本年度に実施設計が終了することから、新年度は用地測量を行い、用地取得を行うこととしております。
 新たな改良路線につきましては、町道奥小田向線、町道芦原鋳物屋2号線の調査・設計業務を実施することとしております。
 県事業の農道整備につきましては、平成30年度に着手された安江向線は、新年度が最終年となり、真木張戸線は、引き続き完成に向け事業推進が図られます。
 新規路線の栗屋谷線及び弓取線は、工事に着手され、張戸山手線及び安江中線は、測量を実施される予定であります。

【簡易水道・下水道の整備】

 次に簡易水道・下水道の整備についてであります。
 簡易水道事業につきましては、本年度において飯南町簡易水道事業計画の更新を行ったところであり、新年度では、赤名地区の石綿管更新の設計を行ってまいります。
 下水道事業につきましては、合併処理浄化槽設置を継続するとともに、引き続き下水道接続率の向上を図るとともに、既存の施設の適切な維持管理に努めてまいります。
 八神地区の農業集落排水は、令和6年度から更新工事を行う計画であり、引き続き準備を進めてまいります。

【雲南圏域ごみ処理施設の整備】

 次に、雲南圏域ごみ処理施設の整備についてであります。
 次期可燃ごみ処理施設の広域整備につきましては、雲南市、奥出雲町、飯南町の3市町を中心に検討を進めており、雲南市・飯南町事務組合による「雲南圏域における次期不燃ごみ広域処理施設整備基本構想」が、年度内に策定される予定であります。
 ごみ処理施設を整備するには、用地の選定や施設規模など、地域に密接な関わりがあることから、3市町が主体的に実施していくことが必要であり、新年度においては、雲南市役所内に3市町の担当課で組織する「施設整備準備室」を新たに設置し、検討を進めてまいります。

【令和4年度一般会計補正予算】

 次に、令和4年度一般会計補正予算についてであります。
 この度の補正につきましては、イノシシ等の捕獲が増加したことによる鳥獣被害防止事業に7百万円余、琴麓野萱地区の農業競争力強化農地整備事業に8百万円余、入込客減少に伴う琴引スキー場臨時管理費に2千2百万円などを追加しておりますが、災害復旧事業、定住住宅整備事業などの事業完了や各種事業での精査に伴う減額により、総額としては6千万円余の減額補正としております。

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【令和5年度当初予算の概要】

 次に、令和5年度当初予算の概要についてであります。
 一般会計予算総額は、対前年12.3%の大幅な減額となる、73億8百万円余を計上しております。
 昨年度においては、大規模な災害復旧に関する予算8億5千万円余、来島牧場増頭事業に4億4千万円余など、例年にない特別な予算として約15億円を計上していた事により、前年比では大きく減少しておりますが、「例年ベース」にあると認識しております。

 冒頭でも申し上げましたが、私の任期の半ばが過ぎ、公約として掲げる5つの柱の具現化に向け、新年度予算編成を行ったところであります。

 「子どもたちの声が聞こえるまちづくり」として、昨年に引き続き、赤名・志々地区へのこども広場の整備に5千9百万円余、郵便局と連携した子育て用品配布事業に4百万円余など。

 「安心安全なまちづくり」として、高齢者福祉グランドデザインの推進に3百万円余、老朽化が著しい連坦地の街路灯整備に3千万円余など。

 「産業が元気なまちづくり」として、利便性と商工業の活性化につながる電子ポイントカードの導入に3千万円余、スキー場の機能強化事業に8千9百万円余など。

 「定住を進めるまちづくり」として、八神地区のセミオーダー式定住住宅の整備に8千5百万円余、頓原地内単身住宅整備設計業務に9百万円余など。

 「歴史・文化を感じるまちづくり」として、本町の貴重な民族文化の継承や再認識を深めるための醸成を講演会として行う事業費など。

 以上を主な新規事業としており、全体としては41事業、4億4千万円余を計上しております。

 また、病院事業会計につきましては、電子カルテ更新のため、前年比2億9千万円増の15億4千万円余とし、簡易水道事業会計につきましては3億8千万円余、下水道事業会計につきましては5億1千万円余をそれぞれ計上しております。

 以上、町政を運営するにあたっての私の基本的な考え方と主要施策の概要について申し上げました。

 就任以降、コロナウイルスと災害への対応を最優先し、事業の一部先送りも余儀なくされたところですが、「ウィズコロナ」への移行とともに、日常生活を徐々に取り戻しつつある中、職員と一丸となって、事業の推進に取り組んでまいります。


 なお、今回提案いたします議案は、報告案件1件、同意案件1件、議決を要する案件23件、令和4年度一般会計補正予算(第9号)など、予算案件12件であります。

 提出案件の詳細につきましては、後ほど担当課長に説明させることといたします。
 何とぞ慎重にご審議の上、適切なご議決を賜りますようお願い申し上げます。

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